無辺行菩薩(むへんぎょうぼさつ)
本化地涌の菩薩の上首の1人。
法華経従地涌出品第十五に説かれる四菩薩の1人。
御義口伝巻上には法華文句輔正記の文を引いて、無辺行は常楽我浄の四徳のなかの常をあらわすとし、更に一個人がこの四徳の義をそなえており「断常の際を踰ゆるを無辺行と称し」とある。
即ち断見・常見という低く狭い生命観にとらわれることなく、三世にわたる因果律に立った自由自在の広広とした境地を意味する。
また御義口伝巻上には「風は塵垢を払うを以て行とし」とあり、更に日寛上人の「連祖の本地内証外用の事」には「風は辺際(際限・限界)無くして法界(宇宙・全世界)に行く、故に無辺行は風大なり」とあり、無辺行は地水火風空の五大のなかで風大をあらわすとされている。